アムステルダムの写真美術館「foam」に注目!

歴史ある建物や運河の美しい街並みに加えて、現代的なアートやデザイン産業もオランダという国の魅力のひとつです。なかでもアムステルダムは、ヨーロッパでも指折りのカルチャー・スポットとしてよく知られています。街中でも、ガラス張りの斬新なスタイルのビルと石造りの重厚な古い建物が並んでいることが珍しくなく、古びたものと新しいものが隣り合わせにある独特の景観に、他にない個性的な魅力を感じることができます。

そのようなアムステルダムの中心街には、美術館や博物館、アートギャラリーが数多く存在します。現代アートといえば、アムステルダム市立美術館(Stedelijk museum Amsterdam)の名前がまず始めに挙がりますが、それに続くような、現代アート好きにおすすめするスポットがいくつも点在しています。

そのうちのひとつが、写真専門の美術館「foam」です。現代のアートとしての写真にまつわる活動が、充実した展示だけではなく、ワークショップなどのイベントや出版も含めて幅広く行われているという、写真愛好家には見逃せないアートスポットです。

 

アートとしての写真に出会える場所

 

アムステルダム中央駅からこの美術館まで、徒歩では30分弱、16番トラムでは9分ほどで最寄りの停留所「Keizergracht」に着きます。トラムから降りたら、進行方向に見える橋の手前で左手に曲がりましょう。運河沿いのKeizergrachtという道路の左手に、写真のように赤いサインが見えたら、そこがfoamの入口です。

美術館の外観はアムステルダム市内でよく見受けられる間口の狭い典型的な建物ですが、エントランスやギャラリースペースなどの内装は打って変わってシンプルで現代的です。入ってすぐ左手にチケットカウンターがあるので、まずは受付を済ませておきましょう。

チケットは大人が11ユーロ、学生は8ユーロです。なお、オランダのミュージアムカード(museum kaart)で無料で入場できますので、お持ちの場合は忘れずに掲示しましょう。

エントランスにはチケットカンターのほかに、ミュージアムショップが併設されています。この美術館が発行している写真の雑誌「foam」や、さまざまな写真集や写真にまつわる書籍が置かれていて、さっそく足をとめて本や雑誌を眺めたい衝動にかられますが、まずは展示室に進みましょう……!

見ごたえ十分の展示

筆者が訪れたときは、日本人写真家・杉本博司さんの展覧会が催されていました。タイトルは「Black Box」。薄暗い展示室には、モノクロで大判にプリントされた印象的な写真作品が並んでいました。世界各地の海を撮影したシリーズや、歴史上に名の残した人々の蝋人形、博物館のジオラマなど、シリーズごとに部屋が分けられていて、それぞれにまったく異なる雰囲気が漂っていました。展示スペース全体は決して広くないのですが、コンパクトな空間に作品が高い密度で展示されているためか、作品の世界にどっぷりと浸ることができます。また、別棟の展示室では、ロンドンで学び、ファッション界でキャリアをスタートした若手の写真家の展覧会も小規模ながら開かれていました。

ここで展示を眺めていると、「写真」とひとくちに言っても、生々しい描写から夢のようなぼんやりとしたイメージ、モノクロからカラフルな作品まで実に多種多様で、そのバリエーションの豊富さに改めて驚かされます。絵画や彫刻などの他の芸術ジャンルに比べるとその歴史は浅いですが、写真が誕生して以来、数多くのアーティストが新しい表現を生み出してきたことがわかります。

美術館内のギャラリー

階上に進み、さらに急な螺旋階段を上がると、窓が多く明るい空間に着きます。ここは建物の最上階に当たる場所で、「foamギャラリー」と呼ばれている美術館内の特別なギャラリースペースです。

このギャラリー内では、写真家のサイン入りのオリジナルプリント作品が展示販売されていました。その作家には、美術館内で作品を展示しているアーティストや、雑誌「foam」に掲載されているフォトグラファーが多いようです。また、限定部数しか発行されていないという貴重なアーティストフォトブックも取り扱われていました。なかには、コレクターズアイテムのため、値段が伏せてある本も……。いったいお幾らなのか気になります。ご購入を検討される方や興味のある方は、ぜひ問い合わせてみてください!

写真の楽しみ方が広がる場所

冒頭でも書いた通り、この美術館は同名の雑誌「foam」を発行しています。誌面を通じて、才能ある若手フォトグラファーを発掘してその作品を国内外に向けて送り出したり、アムステルダムの地から注目すべき写真作品を世界に向けて発信する役目を負っているそうです。

美術館としてのfoamの活動の中には、現代における写真というメディアの可能性と魅力を幅広い層の人に伝えることも含まれているため、多彩なイベントが年間を通して企画されています。開催中の展覧会の作品や作家にまつわる写真の技術的なワークショップやレクチャー、子ども向けのイベントなど、まったくの初心者から写真を学ぶ学生や専門家まで、写真に関心を寄せる幅広い層の人に向けた催し物があって面白そうです。

まず気軽に参加できるイベントとしては、毎週木曜日の夕方18時30分からのガイドツアーがあります。英語とオランダ語の両方で約1時間にわたって説明を受け、解説者に質問をしながら展示作品や展示作家について理解を深めるための絶好のチャンスです。参加費は無料。筆者も近々ぜひ参加してみたいと思っています。

鑑賞後はカフェでほっと一息

一通り鑑賞し終わってから少し休憩したいのなら、美術館のカフェに立ち寄ってみましょう。このカフェ「Foam Café」は、道路より低い位置にありますが、明るくて居心地がいい空間です。座席でも、カウンターでも注文できます。コーヒー1杯が2.5ユーロで、その他にもお酒やジュースなど、さまざまな飲み物や軽食が楽しめます。ワインやビールとおつまみのセットも10ユーロ前後で用意されていました。

ケーキなどの手作りデザートの品ぞろえも充実していて、筆者が訪れたときにはアップルパイやプラム入りのパウンドケーキ、チーズケーキ、チョコレートブラウニーがカウンターに並んでいました。悩んだ末、パウンドケーキとラテ・マッキアートを注文。席で待っていると、カフェの店員さんが運んできてくれました。コーヒーを飲んでほっと一息……癒されるひとときです。

木曜と金曜は、美術館とカフェが21時まで開いているので、その曜日を狙って友達と一緒に訪れ、アートを鑑賞してからお酒を一杯飲むのにもうってつけだと思います。

アムステルダム中心街のアクセスの良い場所で、現代の写真の最新トレンドに気軽に触れられる……それがこの写真美術館foamです。写真に興味のある方も、ちょっと敷居が高いと思っていた方も、ぜひとも機会を作って訪れてみてください♪

(インフォメーション)

Foam Fotografiemuseum

住所:Keizersgracht 609, Amsterdam 公式サイト:https://www.foam.org/