お屋敷ミュージアム「ウィレット=ホルトハイゼン博物館(Museum Willet-Holthuysen)」

アムステルダムのレンブラント広場からほど近いヘレングラクト(Herengracht)という通りには、市内にいくつかある運河ハウスミュージアムのひとつである「ウィレット=ホルトハイゼン博物館(Museum Willet-Holthuysen)」があります。入口は周囲の一般住宅とあまり変わりがなく目立たないのですが、中に入ってみると、19世紀初期にこの住宅を所有していたあるオランダ人夫妻の暮らしが感じられる素敵なミュージアムでした。今回は、その模様をレポートいたします。

 

運河沿いのお屋敷ミュージアム

 

ちょうどクリスマスシーズンだったので、建物外観にはリースやリボン、イルミネーションなどの特別な飾りつけが施されていて、美しい外観をしており、道行く人の注目を集めていました。

建物に入ると、右手に小さなチケットカウンターがあります。年配の女性ミュージアムスタッフがチケットを発行してくれました。大人9ユーロ、子どもはその半額で、オランダのミュージアムカードがあれば入場無料になります。オーディオガイドは1ユーロでレンタルできます。日本語版はなく英語版を使うことになると思いますが、シーズンによって少しずつ違う内容の限定の音声ガイドが楽しめるようなので、時間があればチャレンジしたかったところです。

 

裕福な夫妻の暮らしが伝わる家

 

このお屋敷は、19世紀にアブラハム・ウィレットさんとルイザ・ホルトハイセンさんの夫妻が自らの住まいとして使っていた家なのだそうです。現在も、備え付けの大きな家具を中心として、当時の面影をそのまま残した展示を見ることができます。

室内のあちこちにみられる紋章は、アブラムさんとルイザさんの家柄によるものだそうで、そう知ってからインテリアを改めて眺めてみると、あちらこちらに紋章や関連するモチーフを見つけることができて楽しめます。

 

インテリアや建築に関心のある方におすすめ

 

館内には、合わせて10の部屋があり、それぞれの部屋に実際に足を踏み入れて、インテリアや展示品を鑑賞することができます。木の床がすこし軋むのも、風情があります。

特に印象に残ったのは、居間、ダイニングルーム、そして家の裏手にある広いお庭が見下ろせるガーデンルームでした。

 

富をつぎ込んだ絵画コレクション

 

家の主であったアブラハムさんは熱心なアート・コレクターであっただけに、室内の至るところに絵画が飾られているほか、見ごたえのある西洋絵画のコレクションが壁いっぱいに架けられている部屋がありました。これらはオランダ国内で最初期のオランダ絵画コレクションなのだそうで、このミュージアムに展示されている作品の他にもアムステルダム市に寄贈されたものがあるそうです。よく探せば、アムステルダム国立美術館などにもウィレットさんのコレクションが並んでいるかもしれませんね。絵画などの芸術品にお金をつぎ込んでしまって、破産したこともあるという有名な絵画コレクターとしての側面が浮かび上がってきます。

この絵画のある部屋は、実は居間の一部でした。お金持ちである夫妻の家は、アムステルダムの上流階級の人々が集う社交場にもなっていて、この居間にはたくさんの人が出入りしていたそうです。応接間だけではなく、女性の集まりのための部屋、男性の集まりのための部屋という専用ルームがそれぞれ用意されている点にとても驚きました。きれいに着飾った人々が美しいインテリアの居間や絵画室にたたずんでいる光景が目に浮かびます。これらの絵画作品はただのコレクションだけではなく、お客さんのためのものでもあったんですね。

さらに、お客さんを集めて屋敷内でコンサートなどのイベントを開くこともあり、そのために改築の上、ホール「Ballroom」を用意したという史実も説明されていました。フランス趣味の夫妻は、インテリアに当時のフランスの最新の流行を取り入れたそうです。在りし日の賑わいが感じられるような空間でした。

 

ペット愛に共感!

 

さて、館内には夫妻自身の肖像画はもちろん、夫妻がかわいがっていた歴代の飼い犬や飼い猫たちの肖像画(!)も合わせて展示されていました。真ん丸な黒い眼をしたトイプードルを抱えているルイザ夫人の姿などを見ていると、筆者も大の動物好きだからか、どこか親しみがわいてきます。真っ白で毛足が長く、手入れが行き届いているいかにもお金持ちの家猫らしいペットの肖像画もあります。動物好きには見逃せない作品群でした。

 

部屋ごとに雰囲気の違うインテリアが見事

 

ダイニングルームには、夕食のための立派なテーブルセットがセッティングされていました。その食器やカトラリーなどの美しさも見ごたえがありますが、一番のみどころは、2階の一番奥のガーデンルームだと思います。筆者は12月に訪問したので、薄暗い館内にはクリスマス限定のデコレーションが各所に施されていましたが、その中で一番立派だったのが写真のお部屋です。また、裏庭が見下ろせるガーデンルームにも大きなクリスマスツリーがありました。イルミネーションが施されているのみならず、アンティークの価値のあるガラス製のオーナメントなどが提げられていて、いつまで見ていても飽きませんでした。また、大きな天蓋付のベッドがある寝室も落ち着いたインテリアとアンティーク家具の持ち味が特徴的でした。

 

かつての住人の存在が感じられる空間

 

この博物館では、19世紀の生活様式がわかるだけではなく、ウィレット・ルイザ夫妻の存在感が感じられるお家です。絵画コレクションや調度品などの「もの」を通して、それぞれの人のこだわりが伝わってきます

夫のウィレットさんはパリのボヘミアンのような生活をしていたという、お金を湯水のように使う男性。そしてルイザさんはペット好きで、裕福な家庭に育った女性。絵画コレクションを始め、彼らの姿が浮かび上がってくるような展示品が数多く鑑賞できます。

現在、このミュージアム館内にある家具などの調度品は、すべてがオリジナルというわけではありませんが、家を所有していたオーナーの考え方、生き方、暮らし方に触れるには十分なほどのきちんとした所蔵品が揃っていると思いました。ゆっくりとした気分で過ごしたい休日に打ってつけの、癒し系アートスポットです。

 

インフォメーション

名称:ウィレット=ホルトハイゼン博物館(Museum Willet-Holthuysen)

住所:Herengracht 605, Amsterdam

開館時間:月曜から金曜 10:00~17:00

公式ウェブサイト:https://www.willetholthuysen.nl/en