オランダ一の考古学ミュージアム「国立古代博物館」

「考古学」というと大昔の遺跡や彫刻が思い浮かび、ちょっとマニアックなイメージがつきまといますよね。ですが、オランダ・ライデンにある「国立古代博物館(Rijksmuseum van Oudeheden,ライクスミュージアム・ファン・アウデヘーデン)」は、特に古代に興味がない人でも魅了されてしまうような、幅広く質の高いコレクションを持つ博物館です。

 

大学付属のコレクションが博物館に転身

 

このオランダ国立古代博物館の所蔵品には、有史以前からローマ王朝、中世までの美術品や生活道具があります。その展示物の起源は、古代エジプトや近東、ギリシャ、ローマ、エトルリア、オランダなどヨーロッパまで幅広く豊富なのが特徴的です。所蔵品は合わせて18万点以上あるのだとか。ものすごい量ですよね。そして、数だけではなく質も高いので、展示はとても見ごたえがあります。

1818年からライデン大学の考古学部門として調査・研究を行っていたのがこのミュージアムの始まりです。それから独立したNPO団体として、そのコレクションを多くの一般の人にも公開するべく、国立考古学博物館がオープンしたのが1995年のことです。近年、調査・研究だけではなく、そのミュージアムとしての魅力が見直され、2014年には3年前と比べて約5万人も来場者が増え、約21万人が訪れたそうです。

ライデンの電車の駅から歩いて、約10分ほどで国立古代博物館に着きます。運河沿いのラペンブルグ(Rapenburg)の通りの一角にあるこの建物です。聖ピーター教会やライデン大学からほど近い場所にあります。

ミュージアムの入場料金は大人12.50ユーロです。お得な「Budget ticket」という29ユーロで大人2人・子ども2人(17歳まで)のための家族チケットも用意されています。入口左手のチケットカウンターで購入できます。リュックサックなどの大きな手荷物は、2ユーロ硬貨を使う返却式のコインロッカーに預けておきましょう。

 

驚くほど豊富な古代文明のお宝コレクション

 

常設展は、以下の5つのゾーンに分けて展示されています。

・エジプト

・古代世界

・近東

・オランダにもたらされたローマ文明

・オランダの考古学

展示品には、それぞれ詳しいキャプションが英語とオランダ語で添えられています。古代の発達した文明を築き上げた人々の暮らしが伝わってくるような、詳細な説明を一つひとつ読んでいくと、時間があっという間に過ぎていきます。1階のエジプト文明の展示には、変わった明るい緑色の貴石でできた動物の人形や、サイズの大きな石版に刻まれた象形文字やレリーフがありました。間近でじっくり鑑賞できるのはもちろん、館内は広いので訪問者で混雑することは平日であればまずなさそうなので、時間を気にせずゆっくりと観ることができます。

 

「オランダの考古学」コーナーには、恐竜の化石から始まり、国土がどのような歴史をたどって今の姿に至るのかが分かるような展示が施されていて、見ごたえがありました。その展示の最後には、国内の各自治体の名前が一つずつ書かれた引き出しがたくさん付いた大きな棚が置かれていました。引き出しをそっと開けてみると、それぞれの場所で出土したものが説明とともにおさめられています。訪れたことのある町を一つひとつ思い出しながら、出土品を眺めてその物語を想像してみると楽しそうです。

世界で指折りの海運国家として名をはせたオランダらしく、船員が海から引き上げたという品も数多く展示されていました。旅の無事を祈るために作られていたという女性と犬の姿を掘った石碑が、ミュージアムの最上階にずらりと並んでいたのが印象的でした。

 

とびきり充実した内容の特別展

 

特別展は、規模の小さなものから大きなものまでが同時にいくつも開催されています。それぞれの展示スペースは小さくても、とても見ごたえのある、凝縮した内容のものだったので、とてもおすすめです。

例を挙げると、メソポタミア文明の都市ニネヴェをテーマにした展示には、石に浮彫を施した繊細なレリーフや、黄金のデスマスク、焼き物などが並んでいました。

また、「Splendour&Precision」というタイトルがつけられた入口すぐ左手の展示には、ガラスケースにびっしりと貴石の指輪やアクセサリーが並んでいました。メソポタミア文明で、魔除けと契約印として使われていた指輪などに、虫眼鏡で覗いたり拡大写真を見たりしてやっと認識できるくらいに細かい絵が彫られています。モチーフは人間や動物などさまざまで、じっと見つめていると、その独特の魔術的な魅力にひかれてしまうような気がします。加工前の貴石などの材料や、どうやってこのような工芸品がつくられるのかというプロセスを説明した映像も展示されていました。この美術館の自慢の一つに、この浮き彫りされた貴石の工芸品コレクションの豊富さがあるのだそうです。約6300点から選りすぐりの作品が展示されています。宝石好きな人には絶対に見逃せない展示のひとつです。

 

開放感のある中庭つきカフェ

 

博物館のカフェは1階にあります。屋内の席のほかに中庭にもテーブルがあるので、お天気の良い日にはのんびり日向ぼっこをしながらティータイムが楽しめそうです。

カフェの隣にあるミュージアムショップには、特別展に関連するファイルやノート、ポストカード、大判の書籍やカタログなどの他、ちょっと他では見つけられないようなマニアックなエジプトのファラオの絵柄がついたグッズなどがたくさん並んでいます。一風変わったお土産が見つかりそうなお店です。

 

この国立古代博物館では、「ミュージアム・エスケープ」という体験型のゲームイベントも期間限定で開催されていました。館内の仕掛けを通じて、考古学のミステリーを解くというもので、時間は45分かかり、2名以上で参加できるそうです。入口すぐの場所に特設コーナーが用意されていて、訪問者の関心を集めていました。

 

考古学好きならたまらないような古代文明のコレクション、そしてオランダという国を考古学的な視点からもっとよく知ることができるミュージアムです。広々とした館内は歩いているだけで気持ちがよく、価値の高い展示品に囲まれて、ぜいたくな時間が過ごせます。機会を作って、ぜひ訪問してみてください。

 

インフォメーション

名称:国立古代博物館(Rijksmuseum van Oudeheden,ライクスミュージアム・ファン・アウデヘーデン)

開館時間:火曜~日曜 10:00~17:00

住所:Rapenburg 28,2311 EW,Leiden

公式サイト:http://www.rmo.nl/english