世界の文明に触れる場所・国立民族学博物館(Museum Volkenkunde)

計13のミュージアムのあるライデンの町で、ひときわ強い個性を放つミュージアムがあります。それは、駅からほど近い場所にある国立民族学博物館(Museum Volkenkunde)です。常設のコレクション展では、文化的に異なる8つの地域の美術品や道具などが展示されています。オランダにいながら、世界の文化を比べ、それぞれの魅力を発見できる素敵なカルチャースポットです。

 

世界最古の民族学博物館のひとつ

 

国立民族学博物館は、ライデン駅から徒歩5というアクセスしやすい場所にあります。運河沿いにトーテムポールとともにそびえるこちらの建物がミュージアムです。

チケットは大人14ユーロ、4歳以上18歳以下は6ユーロです。オランダのミュージアムカードを持っていれば無料で入場できますし、このミュージアムのチケットセンターで即日発行して使うこともできます。オランダ国内に住所がある場合は1年間有効ですが、旅行者でも60ユーロ以上ミュージアムチケットに使う予定なら、1か月有効期間があるのでお得です。ぜひ活用してみてください。

なお、ミュージアムの混み具合については、筆者は土曜日の午後に訪れましたが、予約をしなくてもまったく問題なく入場できる程度でした。

1830年にオープンしたこの博物館は、世界最古の民族学博物館のひとつだそうです。もともと王族のウィリアム1世が所有していた珍品・貴重品のコレクション「驚異の部屋」、そして日本の出島に滞在した医者フランツ・シーボルトが蒐集したコレクションが元となっています。現在、その総数20万点のコレクションは、インターネット上でデータベースが公開されています。調べたいものがある場合は下記サイトをご参照ください。

◆世界文化についての博物館・オンラインコレクションデータベース→ http://collectie.wereldculturen.nl/default.aspx?lang=en

 

民族学、というとお堅いイメージですが、ざっくりといえば「人間とその文化」についてのミュージアムだと思えば、とっつきやすいのではと思います。

実際に展示を見ていくと、そこには「親しみやすさ」が大切にされているように感じました。地域的にも本当に幅広い、地球全体に広がる人間の文明についてより深く知るための手掛かりがここにはありそうです。

 

豊富なコレクションと多彩な切り口

 

常設コレクション展には、20万点ある所蔵品が並んでいます。1階入口すぐの場所には、インドのガネーシャなどの神々を象った石像や、インドネシアの影絵の人形劇に使う道具、楽器、お面などの服飾品など、一言では言い尽くせないような幅の広い展示品が揃っています。

日本のコーナーでは、出島の模型や武士の鎧兜、焼き物などが展示されていました。日本で伝統的に使われている食器や調理道具のミニチュアがお重のような箱に納められている展示品があり、とてもかわいらしくて印象に残りました。また、中国の仏教の黄金に輝く塔のような仏像も展示されていました。

アジアだけではなく、アフリカやアメリカ、オセアニア、イヌイットに至るまで、様々な文化にまつわる所蔵品が展示されています。一見、何に使うものなのかわからない道具や美術品も、脇に設置されているディスプレイやキャプションの説明を通して理解することができます。ミステリアスな顔付きをした木像も、村人が日々捧げものをしていた祈りの対象だったことがわかると、少し違って見えてきます。そういった体験から、人が作り出したものにはすべて何らかの意味が込められていて、痕跡が残っていることがだんだんとわかってきます。

 

博物館の2階には、パプアニューギニアなど、世界各地の民族が伝統的な衣装を着た写真に自分の顔を当てはめてみる映像ゲームが設置されていました。顔の形からして全然似合わなかったり、遠い民族なのに意外としっくり来たりして、とてもおもしろい体験型の展示でした。写真を一度自分の顔に当てはめてみるだけで、遠いはずの住民たちがどこか身近に感じられるから不思議です。

また、2階には仏像ルームも用意されていて、ほの暗い部屋で仏像と向かい座って、しばし瞑想することもできてしまいます。それぞれの人の好みや工夫によって、いろいろな楽しみ方ができるミュージアムだといえます。

 

日本のポップカルチャーを特別展示

 

筆者が訪問した際に行われていた特別展はCool Japan」展でした。日本のアニメーションや漫画、コスプレや原宿ファッションなどをメインに、日本の現代文化がアートとして展示されていました。アーティストの奈良美智さんの作品もいくつか並んでいたほか、民芸品などもファッションとして展示されていて、新鮮な視点で鑑賞することができました。雑誌のカバー写真のように自分の写真を加工して、メールで送ってくれるサービスもあったので、訪れたらぜひ忘れずに記念撮影をしてみてください。

 

この国立民族学博物館では、子どもを対象にしたワークショップやイベントが数多く開催されています。建物の地下には広々としたワークショップ専用のスペースが用意されているほか、常設コレクションの展示室内には、それぞれ子どものためのワークシートが置かれています。ディスプレイを活用したインタラクティブ展示も多く、美術館全体を鑑賞するには少なくとも1時間半以上かかると思います。

興味深いのは、このミュージアムは「文化的な違い」をはっきりと見つめながら、「人間として共通に持っているもの」にもフォーカスしているという点でした。確かに、現代世界では「国」という単位で人々が分かれていますが、そのルーツを何千年単位でたどれば、どこかでつながっていたり、共通の文化を持っていたりするに違いありません。世界平和につながるような、素敵なメッセージが流れる博物館でした。知的好奇心を刺激して、視野を世界規模まで大きく広げたいときなどにぴったりです。ぜひ訪問してみてくださいね。

 

インフォメーション

名称:国立民族学博物館(Museum Volkenkunde)

住所:Steenstraat 1, 2312 BS Leiden

開館時間:火曜から日曜 10:00~17:00

公式サイト:https://volkenkunde.nl/en