近現代アートのメッカ・ステデライク美術館

質の高い近現代のアート・デザインで、オランダは国際的に知られています。その首都・アムステルダムで最新の現代アートや近代芸術・デザインに触れることができるアートスポット、それがステデライク美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)です。アムステルダム市立美術館とも呼ばれ、市内のミュージアム地区に位置しています。白い巨大なバスタブを思わせる斬新な外観をしており、エリア内でもひときわ強烈な存在感を放っています。ヴァン・ゴッホ美術館のすぐ隣に位置し、トラムや車が通る通り沿いに建っているインパクト大のミュージアムです。

 

豊富なコレクションと工夫ある展示

 

ステデライク美術館は、オランダが誇るデザイナーやアーティストの作品のほか、パブロ・ピカソやアレクサンダー・カルダー、マルク・シャガールなどの作品を擁しています。1850年から現在に至るまでの幅広いメディアを表現方法として用いたアートやデザイン作品のコレクションの総数は、約9万点もあるのだとか。

建築としては、150年前の建物が近年増築され、白くて大きなバスタブのような、特殊な形をした庇つきの現代的なものに生まれ変わりました。近現代アート・デザインを所蔵するミュージアムにふさわしい、斬新で存在感のある建築デザインです。

回転ドアを通ってエントランスホールに入ると、高い天井とスケールの大きな独特の空間が広がっています。チケットカウンターは右手にあり、その裏手にはロッカーと荷物預かりのカウンターがあります。

入館料は、特別展によって変更されることがありますが、2017年7月以降は大人17.5ユーロ、学生が8.75ユーロで、ミュージアムカードやIamsterdamシティカードなどの各種パスチケットがあれば無料です。

ミュージアムの広々とした展示スペースは約8000平方メートルに及び、オランダで一番大きな展示スペースを誇る近現代アート・デザインの美術館なのだそうです。コレクションと特別なエキビションは、主に2つのフロアにわたって展示されています。

展示室に入る前に、地上階と2階にある展示室0・1番の入口にある黒い「音声ガイドボックス」で、無料の音声ガイドを受け取りましょう。英語、オランダ語、ドイツ語、フランス語の4か国語が用意されているので、音声ガイドを手に取ったら、まず最初に言語設定をしてから展示室に向かいましょう。

 

オランダならではのデザインコレクション

 

2017年はオランダのアート史上、重要なデザインの運動「ステイル」が生まれてから100周年、というわけで、1年を通してステデライク美術館では「ステイル」に参加したアーティストやデザイナーの作品を、「ステイル」という運動の流れがわかるように統合的な展示を行っています。私たち日本人にとっては、「ステイル」運動に参加したのはピエト・モンドリアンの名前しか馴染みがありませんが、シンプルでくっきりとしたデザインや用の美を感じさせる作品には、どこか日本人の感覚にも通じるようなセンスを感じ取ることができます。

広い館内にはたくさんの見どころがありますが、筆者が特におすすめしたいのは1階の裏口のインフォメーションデスクのある部屋です。なんと、デスクの頭上には、アレクサンダー・カルダーのモビール作品がさりげなく展示されているんです。インテリアに完全に溶け込んだ、見事な生きたアートの展示だと思います。建物のあちこちには、カラフルなストライプ模様が描かれていますが、こちらのアーティストの一つの作品。ミュージアムそのものがアートの媒体として使われているのだと気づくと、ときに奇天烈で理解不能に思える近現代のアートがぐっと身近なものに感じられるのではないでしょうか。

立派な階段から始まる2階の展示

 

2階に上がるとき、建物中央にある大きくてクラシックな雰囲気を持つ階段に気づきます。現代建築とコントラストをなしていて印象的です。天井には、イカの表面をプロジェクションマッピングの手法で撮影して映像化した作品が展示されていました。

2階には、広い空間をぜいたくに使った展示が繰り広げられています。建物の増築された部分と、150年前からの建物の間には、白い筒のような渡り廊下がいくつかついていて、飛行機のような縦長の楕円の小さな窓からは、地上階のエントランスホールが見えます。

 

アートから新鮮な刺激をもらおう

 

近代のシャガールやゴッホといった有名な画家の作品は主に1階に展示されており、2階には現代アートに分類されるような、インスタレーション作品が、作家やテーマごとに分けられて展示されていました。

現代アートには、ぱっと見ると何かわからないような、鑑賞する人に解釈をゆだねたり、謎をかけるような作品がたくさんあります。なかには、「靴を脱いでお入りください」と書かれた展示室もありました。絨毯敷きの部屋に入ると、大画面の映像を観るという作品などの実験的な展示、体験型のアートなどにも、数多く触れることができました。さすが近現代アートのミュージアム、観る人をぎょっと驚かせたり、美しさではっと心を奪うような、多彩な表現に満ち溢れています。

 

毎週のツアーやイベントにも注目

 

毎週日曜日の午後には、オランダ語と英語のガイドツアーがそれぞれ行われています。一方、金曜日には、15歳から19歳までの若手アートファンが彼らの感性で気に入った作品を見せてくれる一風変わったツアーもあって、面白そうです。また、金曜日の夜間開館延長の際などに音楽やレクチャーなどの特別なイベントがあるので、訪問の際には公式ウェブサイトをぜひチェックしてみてくださいね。

ちなみに、1階にあるミュージアムショップには、他ではちょっと見つけられないような、オリジナリティあふれるデザインのアイテムやアートグッズ、関連書籍などが多数取り扱われています。入館チケットを買わなくても入れるので、展示を見る時間はないけれどお土産だけはチェックしたいという方にもおすすめです。

ステデライク美術館は、とっつきにくい印象のある近現代アートやデザインが身近に感じられる場所です。新しい刺激や驚きが欲しいときなどに、ぜひ訪れてみてください。

インフォメーション

名称:ステデライク美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)

住所:Museumplein 10, Amsterdam

開館時間:10:00~18:00(金曜は10:00~22:00)

公式ウェブサイト:http://www.stedelijk.nl/en