一見の価値あり! ユダヤ歴史資料館(Jewish Historical Museum)

ユダヤ人の文化、というと、日本ではほとんど知られていないのではと思います。筆者も、以前文庫本で友人から勧められた「ユダヤ人のビジネス論」のような本を読んだきりで、ユダヤ人がどのように定義されるかについてもよく理解していませんでした。大戦中に迫害を受け、アムステルダムにはそれを象徴する「アンネ・フランクの家」があることはとても有名ですが、知っていることはその程度しかありませんでした。

そんな中、イスラエル人のアーティストである友人のおかげで、アムステルダムには「ユダヤ文化資料館」があることを知りました。場所は、国立オペラ・バレエハウス(ストペラ)のすぐ近く。ちょっと目立たない場所にありますが、中にシナゴーグを擁する大きな建物です。

 

知られざるユダヤ文化に触れる場所

  

友人からは、このミュージアムがある地域は、古くにユダヤ人コミュニティがあった場所だと聞きました。ミュージアム入口には、ユダヤ民族を象徴する「ダビデの星」のモニュメントが立っていて、目印になります。好奇心を刺激されて、常設展を鑑賞するために訪れることにしました。

ユダヤ教の信者、もしくは親がユダヤ人である人がユダヤ人だと定義されるということ、イスラエルは唯一のユダヤ人の独立国家であることなどを初めて知りました。ユダヤ人は人種だけでは定義できない、どちらかというと宗教の要素が強い集まりなので、「ユダヤ文化」の資料館としてここは開かれているんですね。

 

美術館のエントランスの扉を通って進むと、すぐ正面に小さなチケットカウンターがあります。入場チケットは大人15ユーロ、13歳から17歳までの子どもは7.5ユーロ、そしてそれ以下の小さな子どもはさらにその半額で、5歳までの子は無料です。小刻みな値段設定ですよね。また、このチケット一枚で、館内の展示を見るだけではなく、以下の4つのスポットも訪れることができます。

Jewish historical museum Children’s museum

Portuguese Synagogue

National holocaust museum

National holocaust memorial

 

ちなみに、館内のオーディオガイドは無料です。時間がある方はぜひレンタルしてみるといいと思います。

 

ものを通してユダヤ人の文化・歴史を学ぶ

 

さて、常設展はチケットカウンター脇のミュージアムショップの中央にある階段を上がったところから始まります。階上には、吹き抜けになっている大きな部屋をぐるりと取り囲むようにして、展示ケースが並んでいます。

このミュージアムの魅力は、第一に、あまり他所の美術館・博物館では見ることのできないようなユダヤ教やユダヤ人文化についてのコレクションを一度に鑑賞して、ユダヤ文化について知識を得られることだと思います。

さらに、それぞれの展示品には、オランダ語のみならず、英語でのキャプションが添えられているので、飽きることがありません。比較的平易な文章ので、分かりやすくて親切です。 

展示ケースの上に布がかけられているものも多数ありますが、鑑賞者は自由に布を持ち上げて、中に展示されている古い印刷物や絵画などをじっくり見ることができます。また、大判のタッチパネルを使ったインタラクティブな展示もいくつもあって、動画や写真、イラストレーションなどのイメージを通して、理解を深めることができます。

オランダのユダヤ人コミュニティについての歴史についても、詳しく展示されていました。ユダヤ人たちの間の賭け事に使われていた専用のコインとコインケースがありました。それをよく眺めていると、ヨーロッパのものとも東洋のものとも違う独特のデザインの存在に気づきます。細部を見ると、工芸品としてのレベルはとても高いと感じました。

 

シナゴーグ内部で展示を鑑賞

 

ユダヤ文化を語る上で、宗教はとても大切なものだそうです。このユダヤ文化資料館の地上階の一部には、ユダヤ教の聖堂であるシナゴーグがあります。

ここには、宗教的なアイテムが主に集められて、ケースの中にずらりと展示されていました。聖職者の衣装や、特別な祭事、儀式や結婚式に使われる貴重な道具なども壁沿いに並んでいます。聖書の一部を指すための長い棒のような道具もあって、その先端についている小さな手の形をした装飾がとてもかわいらしくて思わず見入ってしまいました。独自のデザインが活きていますよね。

シナゴーグの脇には、ちょっとした現代アートギャラリーも設けられていました。シナゴーグとのギャップに驚いてしまうような、意外性のあふれるインスタレーション作品が床に置かれていました。さらに、その奥にはユダヤ教の洗礼儀式のために使われていた古いプールの跡もそのまま遺されています。こちらもとても珍しいものだと思うので、一見の価値ありです。

 

地下には、1つの特別展のほか、広々としたカフェスペースが広がっています。天井が高くて居心地がいいカフェなので、立食パーティにつかわれることがあるそうですが、空間のデザインが素敵なので、コーヒー一杯のためだけでもぜひ立ち寄りたいスポットです。

 

広々としたカフェスペース

 

地上階に戻ると、自然とミュージアムショップに到着します。個性的なアイテムがたくさん並んでいました。有名どころでは、画家シャガールやモディリアーニなどのポストカードが置かれていました。そのわけは、彼らはユダヤ人だからなのですが、この事実は意外と知られていませんよね。また、他では見かけないテイストの文具やアートグッズなどもたくさんあったので、一味違うお土産ものを見つけるのにぴったりだと思います。

また、子ども向けの絵本やおもちゃなどのコーナーも設けられていて、品ぞろえが充実していたので、子どもへのプレゼントを見つけるのにも向いているなと思いました。

 

ユダヤ文化を身近に感じるチャンス

 

独自の言語や文字、美術などのスタイルを持ったユダヤ文化の魅力は、私たち日本人にとってはどこか遠いエキゾチックなものに見えるかも知れませんが、地理的に見れば、ヨーロッパよりもイスラエルなどの国はずっと近くにあるものなのだと考えてみると、ユダヤの音楽に日本に近い調べを聴くことが出来るようで、充実した鑑賞時間を過ごすことができました。他とはちょっと毛色の違うミュージアムを体験したいときにぴったりの博物館で、おすすめです。

 

インフォメーション

 

名称:ユダヤ文化資料館(Jewish historical museum

住所:Nieuwe Amstelstraat 1, 1011 PL Amsterdam

開館時間:11:0017:00

公式ウェブサイト:https://jck.nl/en/node/963