街の物語に触れる場所、アムステルダム・ミュージアム

17世紀のオランダ黄金時代にオランダ・アムステルダムの地は、貿易や科学などの最新技術、哲学や芸術などの国際的な重要な拠点となり、歴史のうえでも指折りの栄華を極めました。街中を歩いても、立派な建造物やモニュメンとなど、当時の繁栄の跡にいくつも触れることができます。そのようなアムステルダムの歴史を詳しく知りたいという方にぴったりのミュージアムが、アムステルダムの中心にある商店街の合間にひっそりと建っています。その名も、アムステルダム・ミュージアムです。

 

アムステルダムの街の歴史を知る

 

アムステルダム・ミュージアムでは、プロジェクションなどの大きなスクリーンの映像や、歴史を証明する展示品と詳しい解説を通して、街の歴史と市民の物語に触れることができます。ミュージアムの建物は、1578年から1960年まで孤児院として使われていました。ミュージアムとしては、設備や内容も最新のものが揃っていてとてもきれいです。建物の外観は昔のままで、内装が新しくリノベーションされているので、入ってみるとそのギャップにびっくりするかもしれません。

ミュージアムの入口はいくつかありますが、こちらの入口は、服や靴などを中心にショップが数多く立ち並ぶカルフェル通り(Kalversstraat)方面からのエントランスです。お店の立ち並ぶ通りに突如現れるミュージアムとして道行く人の目を引きます。

アムステルダム中央駅からこのショッピング街を20分ほど歩くと到着しますが、トラムを利用したい場合は1・2・9・24番に乗って「Spui」停留所で降ります。トラム1・2番の停留所から駅方面に少し戻るようにして歩くと、こちらの別の門に到着します。壁をよく眺めると、アムステルダムの昔の職業やイベントが描かれたレリーフがたくさん付いていてとてもかわいらしいですね。一つひとつ眺めていると、当時の衣装や習慣など、今はもう見られない街の過去の姿が目に浮かぶようです。

そのレリーフのある門を入ると、案内板をぐるりと囲むようにして3か所の入口があります。そのうちの一番左手の入口が、チケットカウンターがあるメイン・エントランスです。

チケットは大人12.50ユーロ、子ども6.50ユーロで、オランダのミュージアム・カードがあれば無料です。受付でチケットを買ったら、まずカウンター左手にある音声ガイドを無料でレンタルして、聞きたい言語をセットします。日本語で設定しようとしたところ、スタッフが「日本語対応はワンフロアだけなので、全ての説明が聞きたいなら英語がおすすめ」と教えてくれました。とういわけで、筆者は英語版に設定してみました。

 

ダイナミックな映像の展示

 

階段を上がると、常設展の展示室が広がっています。薄暗い部屋には、泥土に埋まっていて微生物に分解されずにそのまま残っていた16世紀の革靴を始めとして、オランダらしい焼き物やカトラリーなど、さまざまな歴史を語る品物が展示されていました。黄金時代に街の有力者となったのは商人だったことや自警団があったことや航海技術の発展、クリスチャンからプロテスタントへの変遷など、街を形作っていったダイナミックな過程が、絵画や工芸作品などを通してわかります。

展示室には、天井から吊るされている大きなスクリーンがいくつかあります。その前には、黒くて低い箱が置かれていて、その中央のマークを音声ガイドの機械でスキャンすると、「ピッ」という音がして、自動的に音声ガイドが始まります。それぞれの映像と同期した説明が繰り返し再生されるので、映像と音がダイナミックに伝わってきますし、それぞれ自分のペースで何度でも聞けるので使いやすかったです。

 

知られざる街の素顔に出会う場所

 

街が有力者によって計画され、広場はマーケットなどの催しで賑わい、美しく壮大な建築物が立ち並ぶようになっていった発展の過程が映像や遺品、説明を通して学べるようになっています。当時の活気が伝わってくるような絵画や映像など、資料が豊富に展示されていて、そのディティールに思わず見入ってしまいました。

展示を通して、街の地面の下には、数多くのつっかえ棒が建てられていて、それによって街全体の地盤が支えられていると初めて知りました。急に足元が不安になってくるような気もしますが、街をつくった当初の人たちの努力や工夫なくしては、この地面すら存在しなかったのだと思うと、感謝の気持ちが沸き起こってきます……!

長いものでは20メートルに及ぶというつっかえ棒。その支えがなければ、街全体は泥の中に沈んでしまうのだとか。興味深い事実です。

メインエントランスから建物の外に一度出て、「Group entrance」と書かれている入口に向かうと、そこは無料のオープンギャラリーになっていました。展示室から垣間見えたサイズの大きな現代アートや木製の巨人がどーんと立っていて、迫力満点です。「Group entrance」とは書かれていますが、個人でも入れますので、ぜひ見てみてください。

この他、4歳から12歳までの子ども向けの展示や、アムステルダムの街の現在についての実験的な展示なども時期によって公開されているので、訪問する際はぜひチェックしてみてください。

 

開放的なガーデンカフェを併設

 

ミュージアムに併設されているカフェは中庭にあり、大きな木の下で食事やティータイムが楽しめる素敵なオープンテラスを擁しています。その壁面にも注目してみてください。小さな個室のようになっている展示スペースが数十個並んでいて、それぞれに扉がついています。その中には、アムステルダムの街の歴史を物語るさまざまな品物が一つひとつおさめられています。アムステルダム市がプロテスタントに移行する時期に迫害されていたクリスチャンの市民が隠し持っていた小さなキリスト像など、個人の持ち物が歴史を証明するアイテムとして展示されています。

 

アムステルダム・ミュージアムを見学してからアムステルダムの町中に一歩踏み出すと、街の風景が少し変わって見えるように感じました。さりげなく立っている偉人の銅像やモニュメント、古くからの建物が持つ意味や理由がわかると、街歩きはずっと楽しいものになりますよね。

アムステルダム・ミュージアム訪問は、現在の街からは断片的にしか伝わってこないような、長い歴史を持つ街の隠された魅力が発見できる素敵な機会になりました。街の歴史に興味がある方におすすめです!

 

インフォメーション

名称:アムステルダム・ミュージアム(Amsterdam Museum)

住所:Kalberstraat 92,Amsterdam

開館時間:10:00~17:00

公式ウェブサイト: http://www.amsterdammuseum.nl