カルチャー・スポット「パクハウス(Pakhuis de Zwijger)」

オランダ・アムステルダムにはヨーロッパにかぎらず世界中から人が集まり、独自の文化が生まれる都市として各分野で注目を集めています。古くからの交易によって築かれた豊かな文化や国際的な雰囲気、最新のトレンドを取り入れて変わっていく街の魅力は、他にかえられないものがあります。

街なかでは音楽やアート、産業や街づくりなどに関するイベントがよく行われ、日々進化していくダイナミックな街の息遣いが伝わってくるようです。フェスティバルなどの大がかりな催しも多いので、昔から住んでいる人にとっても飽きることがない、刺激的な街なのではないでしょうか。

そのような魅力を生み出すアムステルダムのクリエイティブな「秘密」についてもっと深く知りたい、という方におすすめのカルチャースポットが、アムステルダム中央駅の東側にあります。今回は、そのパクハウス(Pakhuis de Zwijger)についてご紹介します!

 

元倉庫が文化スポットに転身

 

パクハウス(Pakhuis de Zwijger)は、アムステルダム市の文化施設で、アムステルダム中央駅から26番トラムで5分ほどのアイブルグ(IJburg)地区にあります。界隈には、アートギャラリーやクリエイティブ産業等に携わるオフィスが並び、現代的なデザインの建築物が多いため、アート好きにはうってつけの場所です。

オランダ語で「Pakhuis」は倉庫(warehouse)という意味があります。それもそのはず、この建物は以前、船で運ばれてきた貨物を収めるための倉庫だったんです。2006年に今の姿に改装され、地上階にはカフェ・レストランが、上階には最大900人を収容する大会場をはじめとする、5つのイベント会場を擁しています。

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建物のすぐ裏手には、海につながる運河が広がっています。きれいに舗装されているので、天気が良ければ、散歩やサイクリングにちょうどいい場所です。時折、見上げるような大きな豪華旅客船が停泊していることもあります。運河には大きな橋が架かっていて、その向こうには「Fabcity」というシェアできる工房や作業スペース、いわゆるファブラボが2016年にオープンして、地域のクリエイティブな雰囲気をより一層盛り上げています。

 

活気ある街の文化拠点

 

さて、この施設では実際にどんな活動が行われているのでしょうか。「アムステルダム市と市民による、市と市民のための」施設で、2006年のオープン以来、イベント会場としての機能だけではなく、文化的に豊かな街づくりのための活動拠点として、多彩な役割を果たしているようです。

ここを舞台にして開かれるイベントは、主に「クリエイティブ」「都市」「国際的なトレンド」という3つのカテゴリーに分けられます。デザインやクリエイティブ産業、現代の街づくりに関するレクチャーやイベント、ワークショップが一年を通して開かれています。面白いところは、複数の違ったテーマ立てのプロジェクトが同時に扱われているところで、最新テクロノジーや哲学思想など、扱われるジャンルもさまざまです。

もうひとつの大きな特色は、ローカルとグローバルという両方の視点が重視されたうえで、プロジェクトが行われていることだと思います。具体的には、地元の話題や活動事例を海外にアピールすることや、国際的なトレンドをいちはやくキャッチして、その分野に関心を持つアムステルダム市民に広く伝え、その活動を発展させることの両面からのアプローチなどが行われています。

こうした活動をみると、パクハウスは一口に言えば、クリエイティブや街づくり、地域のコミュニティづくりやビジネスに関するトレンドや、ヨーロッパで旬な話題がわかる場所といえるでしょう。レクチャーやワークショップ、ディスカッションなど、参加型イベントが多いのも特徴的です。オランダ語ももちろんですが、英語で行われるイベントが比較的多いので、日本人にも参加しやすい環境が整っています。

 

実際にイベントに参加してみて

 

先日、City Makers’ Summitという街づくりに関するプロジェクトの一環で開かれたレクチャーイベントに参加してみました。一連のイベントの初日には、社会問題をクリエイティブな手法で解決する社会企業家たちがヨーロッパ各地から招かれたトークイベントが行われ、オランダ国内やギリシャ、イタリアなどから来た20代のプロジェクトリーダーの登壇者の姿が目立っていました。彼らのトークの合間に、イベントに参加した人たちは長テーブルを囲み、偶然隣り合った人たちと会話を楽しみながら、イベント側にふるまわれた夕食を食べ、楽しい時間を過ごしました。参加者と自己紹介やテーマに沿った話をしながら、思ったよりもずっと敷居が低くて、参加しやすいイベントだと感じました。

参加者は、口々に「パクハウスのイベントに参加すると、いつも何かしらの刺激がもらえて勉強になるし、仕事や普段の生活に活かせるアイディアのインスピレーションが沸いてくる」と語っていたのが印象的です。こういった人々が集う場所なら、参加者同士、意見やアイディアを交換して、イベントのテーマについて考えを深めることができるし、人脈作りにもつながりそうです。登壇者にも直接質問しやすい距離感でした。

 

隠れ家的なカフェ・レストラン

 

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パクハウスの建物一階部分の右側は、カフェの入口を兼ねています。オープンテラスを通り抜けると、うなぎの寝床のような細長いカフェ・レストランのスペースが広がっています。入ってすぐにドリンクを提供するバーが見え、壁には時期によっては写真などのアート作品が壁にかけられていて、居心地の良くてお洒落な雰囲気です。さらに店内の奥には大きなガラス窓の向こうに海水が揺れているのが見えます。パクハウス自体がアムステルダムの中心街から距離があるので、どこか隠れ家的な雰囲気があってリラックスできます。

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ランチには、魚や地元のチーズ等とサワー種のパンで作ったサンドイッチや、サラダ、ピッツァなど、材料からこだわった珍しいメニューが並んでいます。

このお店では、食事だけではなく、飲み物にも変わったメニューが取り揃えられています。ハイネケンなどの生ビールなどはもちろんのこと、アムステルダムの蒸留酒製造所でつくられたフルーツやコーヒーのリキュールや、ジュネヴァことオランダ・ジンなども並んでいて、一風変わった品ぞろえです。

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私が注文したのは、オランダでは定番の小さくて丸いエビ入りコロッケ。お値段は6ピースで5ユーロでした。クリーム感たっぷりで濃厚なコロッケは、生ビールと相性抜群です! 地元愛の詰まったメニューは見ているだけでも楽しいですし、店員さんたちもフレンドリーで、こちらのペースに合わせてサーブしてくれます。のんびりお茶やお酒を飲みたいときに、好きなだけゆっくりと時間を過ごすことができるお店です。

EETCAFEは、月曜から金曜までの朝8時半から夜23時まで営業しています。暖かい日には、潮風がすこし感じられるオープンテラスの席が気持ちよさそうです。アムステルダムで活動するシンガーソングライターがカフェの一角で単独ライブを開くこともあるので、運が良ければ音楽も楽しむことができます。

 

イベントの参加方法

 

パクハウスでは、本当に幅広いテーマに関する催し物が年間を通して多数開かれています。自分の興味のある分野の知識を深めるのにも、今まで知らなかった世界を知るためのきっかけにもなると思いますので、お時間のあるときに、ぜひ足を運んでみてくださいね。

今、イベントについて調べるには公式ウェブサイト(https://dezwijger.nl/)をチェックしてみてください。必要ならウェブ上で予約をしておきましょう。ここでの体験が、思いがけない発見や実りある時間を過ごすことにつながりますように……♪

 

≪インフォメーション≫

名称:パクハウス(Pakhuis de Zwijger)

住所:Piet Heinkade 179, 1019 HC Amsterdam

アクセス: アムステルダム中央駅からトラム26番IJburg方面 「Kattenburgerstraat」下車、徒歩すぐ

アムステルダム中央駅から徒歩20分

ウェブサイト: https://dezwijger.nl/